くまおもり素材研究

Last updated(m/d/y): 5/10/06  
Scientific Bear Making!
テディベアにつめるもの

テディベアには、まず綿を詰めます。 化繊綿や、綿花から種を除いただけのものが使われます。  また、昔ながらの木毛(もくもう;木材を毛髪のように細長く切ったもの)も使われます。 これらをベアに詰めて 形をつくり、硬さや柔らかさ、重さを出します。 そして、さらに重さや感触を与えるために、プラスチックペレット (プラスチックの小さな粒;つぶれた球や米粒型など)や、グラスビーズ、金属ボールなどを詰めたりします。

ベアリーショットの開発を始めたとき、主にこの「おもり」としての使い方を中心に考えていました。、 そこで、重さを出すことを中心に、素材にどんなものがあるのか調べました。 いろいろとおもしろいものがありましたので、 整理してみました。
おもり素材の「重さ」の比較のために、比重を記しました。その素材と水の重さを同じ体積で比較した数値です。 1リットル(10cm x 10cm x 10cm の立方体)の水は 1kg の重さがありますが、比重 11.3 の鉛は、 同じ体積で11.3 kg あることになります。
比重が大きいほど、少ない量で重さを出せることになります。 なお、実際には金属の塊をくまおもりにするわけではなく、ボールや粒を使います。 この場合、粒の間に隙間があるので、 ある容積に詰め込んだときの見かけの比重は、素材の比重の 60% 程度の値となります。(球体および類似の形状の場合) この見かけの比重を「かさ比重」といいます。 
ステンレスの比重は 7.9、ステンレス製ベアリーショットのかさ比重は、 約5です。

鉛 比重 11.3

重くてとても安価なので、テディベア製作によく使われていたようです。 

もりくまの知るところでは、 ヨーロッパやオセアニアの国々で、よく使われるようです。  しかし、近年、その毒性(皮膚や口から体内に入ることにより、 神経に悪影響を与える)が問題とされ、いろいろな分野でその使用が控えられ、あるいは禁止の方向に向かって います。 

ベアの他にも、釣りの重り、狩猟用の散弾、そしてなんと日本でも古くから水道管に使用されています。 釣りや狩猟の世界では、自然界に残留する問題があることから、世界的に法律で禁止される方向にあるようです。 水道管は、鉛が水に触れることにより表面に酸化膜ができるので安全だといわれていましたが、やはり鉛の溶出は あり、各地で古い水道管のプラスチック管への置き換えが進んでいるようです。 実は川崎にあるもりくまの家の 敷地内水道管も鉛管であり、最近、水道局から取り替えのおすすめがありました。

テディベアの世界では、鉛玉をベアの重りに使うのはやめましょうという運動もあります。 鉛玉は柔らかく、製作者が触れば手に微粉が着きますし、製作後に少しずつ削れてベアの外に出てくる心配も あります。 もりくまの手元にもイギリスの作家さんによる、鉛玉入りミニチュアがいます。 タグには、 「鉛玉使用」と断りがあります。 確かに良い重さは出ています。 存在感ありです。 しかしながら、どのように扱われるかわからないベアに、鉛を入れるのはやめるべきであると思います。

ビスマス 比重 9.8

釣りの重りや、狩猟用散弾の鉛置き換えとして使われている素材です。 鉛ほどではないのですが、毒性が あると言われています。(どんな素材でも、大なり小なり毒性はあります。人体に必要な鉄や亜鉛でも、 摂りすぎると問題が出ます。実用上許容できるかどうかで、その素材の利用可能範囲が決まるものと 思います) 

比重も比較的大きく、素手で触れる程度で問題になるような毒性はないので、くまおもり に使えないか考えてみました。 あまり聞かない名前の金属ですが、入手も難しくはありません。 しかし、 値段がかなり高いということがわかりました。(ステンレスより高価) このため、くまおもりへの利用は あきらめました。

タングステン 比重 19.1

時々耳にする名前だと思います。 身近なところで、白熱電球のフィラメント(ガラスの内部の光る部分)に 使われている 極めて硬く、熱に強く、重い金属です。 細かい粉塵を吸い込むと肺に障害が出るようですが、塊なら 問題なく使えそうです。 実際、釣りの重りとかゴルフクラブのヘッドに応用されています。

非常に重いので、粒状にしたらかなりおもしろい重りになるのではないかと思い、入手できるものかどうか調べて みました。 すると、ある程度は予想していたのですが、ボールだととんでもない値段になります。数ミリの サイズでも、グラムいくらではなく、1個何十円という値段です。 100g で 10,000円を軽く越えてしまいます。   ああ、恐ろしい。 もちろん、却下です。

しかし、このタングステンの粉末とプラスチックを混合して、比重10 以上の重い素材を作るという技術があるそうです。 これならば使えるかもしれません。 かくして、調査は続きます。

ステンレススチール 比重 7.9

ベアリーショット SR/SS の素材でもある18-8 ステンレスは、 重く、錆びにくく、それ程高価ではありません。
ステンレスは、鉄と比較した場合は値段は高く、加工もしにくく加工費も上がってしまいます。 それでも、18-8 ステンレスはあらゆる場面で使われていて、入手がしやすいです。 入手し易さと各種の特徴を考慮すると、くまおもりとして適当です。

何十種類ものステンレスがある中、18-8 ステンレスは最も一般的に使われているものです。食器や、 キッチンシンク、調理器具などでよく目にします。 (18-8 ステンレスは鉄とクロムとニッケルの合金です) 水には強いのですが、塩分には弱いところがあり、 船に使う部品など海水に触れたり、調理器具でも常に強い塩分にさらされるものには別の種類の ステンレスが使われます。 

メッキした鉄(比重 7.9 程度)のボールを使うという手もあります。 この方が、材料費、加工費ともステンレスより は安くなります。 実用上、ベアに入れて部屋の中に置いておけば、かなりの年月に渡って問題となるような大きな変化は起きないと思います。 ただ、非常に水分が多い環境や、ベアを濡らして しまった場合は心配です。 亜鉛メッキだと、メッキ層が錆びて脱落し、内部の鉄から赤錆びが 発生する場合があります。 ニッケルメッキ、クロムメッキなどのさらに強いメッキを施しても、 10年以上経過すると、環境によってはメッキ層に空いている目に見えない微小な穴から水分が鉄の部分に侵入し、メッキの内側から錆びてくることもあります。

もっといろいろ
  • ベア用ペレットに使われているプラスチック(比重 1〜1.2 程度)より重い、比重 1.4 程度のプラスチックがあります。 実際、これを使ってお手玉を製品化した例もあるそうです。 ちょっと、興味ある素材です。
  • 亜鉛(比重 7.1)、銅(比重 8.9)、真鍮(比重 8.4 ;銅と亜鉛の合金)等は、多少湿気がある環境でも、  問題となるほどの錆びは発生しません。 亜鉛も、鉄のメッキではなく全体が亜鉛の場合は、ボロボロの赤錆びが 出る心配はないわけです。 真鍮は比重が大きくおもしろいのですが、わずかな鉛を含んでいます。これが気がかり なところですが、近年は鉛成分をほぼゼロにした真鍮もあるので、研究の余地があります。
  • さらに、セラミックス球、弾力のあるプラスチック球なんていうものもあり、各種の重さや感触を出せる、 あらたなくまおもり素材が見付かるかもしれません。  グラスビーズに滑りやすいコーティング(表面に別の素材を 塗布する)をして、新しい感触のスタフィング(詰め物)を作るなんていうことも考えられます。

ところで、重くて安全で加工が簡単な金属といえば... そうです、金(比重 19.3)ですっ! 金の粒が詰まったベア。 う〜ん、ごーじゃす!!


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